この記事では、国際結婚されている方に向けて、エンディングノートの書き方を紹介しています。通常のエンディングノートとは少し違う点もありますので、参考にしてください。
エンディングノートとは
はじめに、エンディングノートとは何かについて、少しおさらいしておきましょう。エンディングノートの特長をいくつかあげますね。
- 遺言書とは全く違うもの
- 法的な義務や拘束力は発生しない
- 書式や内容について特にルールはない(自由)
- 日本語でも外国語でもOK
- 介護や終末医療についての希望も書ける
一言でまとめると、
書き方は自由、そして法的拘束力はない。
でも、自分の言葉で書けるので、真意を伝えやすいといったところでしょうか。
エンディングノートを作ったほうがよい理由とは
エンディングノートを書く目的は、人によって異なると思いますが、国際結婚されている方の場合、特に下記のメリットがあると思います。
- 自分の考えや希望を見える化しておくことで、遺族の負担を減らす
- 備忘録として役立つ(国内外にある個人情報、財産情報を整理できる)
- 今後の資金計画を整理できる
- 遺言書には書けない、書きにくいことも書ける
- 遺族や周りの人に、自分の言葉で感謝の気持ちを伝えることができる
国際結婚している人がエンディングノートに書く内容とは?
エンディングノートに何を書くかは自由です。ですから、何を書いてもよいのですが、ここでは、国際結婚している人が、書いておいたほうがよいことをまとめました。
今後の介護や終末医療に関する要望
万が一、介護や緩和ケアが必要になった場合、どのようなケアをしてほしいのかを書きます。元気なうちに書いておいたほうが冷静な判断がしやすいです。
特に介護にはお金がかかります。もし、自分の介護よりも配偶者や子供に使うお金を優先したいという希望があるなら、エンディングノートにそのことを書いておいたほうがよいでしょう。
エンディングノートは、親族が生前に見ることが可能です。この点が遺言書と大きく違います。万が一、あなたが認知症になってしまった場合でも、親族の方がエンディングノートを読むことで、あなたの意思が尊重されやすくなります。
葬儀やお墓についての要望
葬儀やお墓についても重要ですね。
葬儀については、どんな方式を希望するのか、予算はいくらくらいかなどです。葬儀にかかる費用というのは、節約しにくいものです。遺族の明確な意思がない場合、葬儀会社から提案されるがまま高額な費用になりがちです。遺族にあまり負担をかけたくないなら、エンディングノートにそのことも書いておきましょう。
また、葬儀に来てほしい人の連絡先リストも付けておくとよいですね。葬儀に来てほしい人、連絡だけしてくれれば良い人などに分けて整理しておくと、遺族の負担が減ります。
遺言書の有無と保管場所
遺言書があるかないかで、遺族の手間が大きく変わります。遺言書があるのかないのか分からない時が一番困ります。
遺言書の有無、そして、その保管場所を明確に書いておきましょう。法務局保管や公証役場保管の場合、法務局名や公証役場名も書いておくとよいです。
自分名義の資産
自分名義の資産を整理して書いておきましょう。書き出してみると、人によっては結構いろいろあります。例えば、下記のような資産です。国際結婚している場合、国内外にある場合がありますね。
- 現金(円、外貨)
- 銀行口座(使用している通帳のコピーを取っておく)
- 証券口座(証券会社名、ログイン情報などを記録しておく)
- 保有不動産(登記事項証明書のコピーを取っておく)
- 特許、実用新案、商標など(証書のコピーを取っておく)
- 印税、著作権が発生するもの
- 暗号資産(仮想通貨など)
各種サービスのIDとパスワード
現代社会では、サービスを利用する度に、IDやパスワードが必要ですね。サブスク契約になっていたり、毎年自動更新になっているものも多いと思います。
この機会に、情報を整理して、使っていないサービスを解約するのもよいかもしれません。
国際結婚されている方がよく利用しているサービスとしては、下記のようなものがありますね。
- スマートフォン、WIFI回線
- スカイプやZOOM(有料プラン)
- チャットツール(チャットワーク等)
- アマゾンプライム、ネットフリックス
遺族や親しい人へのメッセージ
ある意味、これが一番大事です。このためだけにエンディングノートを書く人もいます。
遺言書では、財産分与方法など事務的なことは書けますが、その人の考えや想いまでは表現できません。「想い」を伝えておかないと、遺族に誤解されてしまう可能性もあります。
書く時は、少し恥ずかしいのですが、書いてみるとすっきりした気分になれます。
エンディングノートを作成した後にすること
エンディングノートを作成したら、そこで終わりではありません。作成した後にやっておくことがあります。
主に以下の3つです。
- 保管場所を決める
- 外国人配偶者の母国語に翻訳しておく
- 定期的に修正する
せっかくエンディングノートを書いても、どこに保管したか忘れてしまっては意味がありません。
おすすめの方法としては、A4のノートや書類が入る箱を用意し、その箱に終活関係の書類を入れておくことです。できれば、現金や通帳とは別に保管しておいたほうがよいでしょう。
私もそのようにしているのですが、この箱のことを、勝手に「終活ボックス」と名付けています。現金や通帳以外の大事なものを入れているので、大事なものを探す手間が省けて便利です。
この記事の執筆者 つくばワールド行政書士事務所