この記事では、日本に住む外国人(在留カードを持つ外国人)が、日本国内で亡くなった場合の手続きについて説明しています。
具体例としては、下記のような方が亡くなった場合を想定しています。
- 日本人と結婚している外国人夫や妻
- 特別永住者の方(在日韓国人など
- 日本で生活していた外国人
なお、葬儀関係の手続き(通夜、告別式、初七日、四十九日、納骨など)については省略しています。また、ここでは一般的なケースについて解説しますが、実際の手続きについては、個々の状況によって異なる場合もあります。
日本で亡くなった外国人の死亡届を出す
在留カードに記載ある住所の役所(市役所等)にて、死亡届を提出します。
健康保険
健康保険の資格喪失の手続きを行い、健康保険証を返却します。国民健康保険の場合、最寄りの年金事務所で手続きします。厚生年金の場合は、会社が手続きを行ってくれます。
年金
年金の受給停止や遺族年金の受給、脂肪一時金の受給などの手続きです。住所を管轄する年金事務所にて行います。
遺言書の有無の確認、遺言書の検認
遺言書がある場合、原則、その遺言書の内容に従って手続きを進めていきます。ただし、自筆証書遺言の場合(公正証書遺言や法務局保管遺言ではない場合)、裁判所で検認という手続きが必要となります。
なお、遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成します。そして、その協議書の内容に従って手続きを進めます。遺産分割協議については、あとで説明しますね。
相続人の調査
亡くなった方が日本人であれば、出生時からの戸籍を遡って取得していけば、相続人が誰になるのか分かりますが、外国人には戸籍謄本がありません。ですから、国によって扱いが異なります。
例えば、韓国人の場合、出生から死亡時までの親族関係証明書となります。東京や大阪などにある韓国領事館で取得できます。韓国大使館ではなく、領事館となりますので、注意してください。
相続財産の調査
預金、証券、不動産、
外国人の場合、タンス預金が結構な額になることもあります。
遺産分割協議
未成年の相続人がいる場合、親権者が代理人となって、遺産分割協議を行います。ただし、その親権者も相続人である場合、代理人にはなれません。たとえ親であっても、子供の代理人になれないのです。親と子の両方が相続人であるため、利益が対立してしまうからです。
実際には、親は子のためを思って、子に不利益な方法で相続を進めたりはしませんが、法律上、このようなルールになっています。
ですから、こうした場合は、未成年の相続人のために、特別代理人を選任します。特別代理人には、相続人ではない親族などがなる場合が多いです。例えば、亡くなった方の兄弟姉妹など(未成年者にとっては、叔父や叔母)ですね。